一八世紀 近代の臨界
一八世紀 近代の臨界
鷲見洋一
すみよういち
序章という形で置かれた文章で、読者は度肝を抜かれる。扱われる具体的テーマのほとんどは、「寅さん」なのだ。そう、あの「私、生まれも育ちも・・・」の寅さんである。著者は、寅さんから、様々な問題を引き出す。「読む」ことの反復・蓄積・集中あるいは「結ぶ」こと。そして、その反対概念としての「ほどき」。全巻を貫く基礎概念、メタファー、贈与、共生、自己組織化などが、手品のように、寅さんから導かれる。
中世にも近代にも収まらない、歴史を超えた二つの創造、モーツァルトの音楽と『百科全書』。一八世紀に交差する二つの足跡をたどり、精密な読みをとおして創造的な跳躍の秘密に迫る。
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